父の実家は、絶対に女の子が生まれない家系だったらしい。
父の兄弟は全員男ばっかり。父方の従兄弟もオール男。冠婚葬祭はむさい光景だった。

しかも嫁は早死にするらしく、父親の兄弟は全員母親が違う。最短で三年、最高でも五年で死んだそうな。

そのせいか婚外子な上、長男の父よりも年上の叔父がいる。

従兄弟たちも死別を重ね、五人いる従兄弟の結婚式全部出たら、二桁回数になった。

ご近所では「女殺しの家」と呼ばれ、評判最悪。一応、そこそこの名家なはずなのに。

元は庄屋だかなんだかの本家直系で、今も地元の議員さんやってた。

女が生まれない家なのに、養女をもらったのか、代々必ず一人は家に娘を置く風習があったそうだ。

でもって、この子たちもみんな短命だったらしい。享年はのきなみ20歳未満ばかり。

貰い娘たちの骨はお墓に入れず、家の中に置きっぱなし。

最後の貰い娘のなくなった年は、父が生まれた数年後。更に言えば、父の実母の死ぬ前年。
……何の符合ですか?

六畳ほどの部屋の周囲に棚があって、そこに並べられているのは子供心に怖かった。自慢げに孫に見せる祖父はもっと怖かった。

婿養子に出た父に娘が生まれて、生後二日目に養子縁組の申し入れがあった。
「息子を婿にやったのだから子供をよこせ」という理屈は意味不明。

誘拐未遂まであって、危うく裁判沙汰になりかけた。 以後、20年以上絶縁寸前の親戚関係が今も続いている。

離婚暦あり、再々々婚になる一回り以上年上の従兄の嫁にと執念を燃やす祖父は、血がつながっている実の祖父だけれど正直怖い。

そんな私は、父の家系からは生まれないはずの女。父の実家のご近所さんの同情を一心に浴びているらしい。

高校の古典の授業で、『女』と書いても『むすめ』と読ませることに気が付いて以来、 父の実家には怖くて行けない。何かと呼び寄せるけれど、絶対に応じていない。

そういえば子供の頃、父の実家に行くと必ず体調を崩した。熱を出して動けなくなって、日帰り予定が五泊くらいしたこともあった。

その後、どうしても熱が下がらず緊急入院して、病院経由で帰宅したっけ。 原因は未だに不明。色々検査したんだけど。

父が婿入りする時も母方の実家は、父実家と縁切りをするために神社で何やらやったらしい。 名目は婚約だかなんだかだったみたい。

そもそも、戸籍上の長男の父が、八人兄妹の末っ子の母に婿入りすること自体不自然。

母の両親は父の実家の事を知り、絶対に娘を嫁にやらんとものすごーく闘ったんだそうだ。祖母は私が生まれる前から何やらお守りを持たせ、今でも毎年正月に新しい物をくれる。

古いものは、祖母がきちんと貰った神社に納めてお礼をしているそうな。

今年の誕生日に、結婚を考えていると伝えたら、
「そろそろ××ちゃんが一人でも大丈夫なように、ちゃんと教えてあげないとねえ」と言った。

薄々感じていたけれど、おばあちゃん、あなたは孫娘に何をしてきたんですか?

父実家に行く時はお守りがグレードアップしたのも、何か意味があったんでしょうか?

……怖い話は正直苦手です。なるべく怖くないように話しておばあちゃん…

大型連休の時に仕込んでくれるそうです。「旅行行っちゃダメよ」と言われています。 逃げたいのは私が怖がりなせいでしょうか。

GW中祖母から聞いた話と、後から兄たちから子供時代の思い出なる昔話を聞き、正直色々堪えてしまいました。

報告も遅くなり、すみません。人目に晒しても問題のなさそうな内容だけレスします。

祖母の話は要約すると、祖母が今までやっていた通り、毎年お守りを頂きに某所(別に怪しいところではなく普通の神社)に行って、古い物と新しい物を交換し、その際に一年間守ってもらったお礼を申し上げ、又一年守ってくださるよう、しっかりとお願いしてくることとその作法。

そして、できれば父の実家とは関わりを持たず縁を切って欲しい、という内容でした。

縁あって姻戚になった相手を悪く言いたくないが、どうしても祖母自身あの家を好かないし、孫の私にも関わって欲しくないのだそうです。

祖父も同様の考えだそうで、冠婚葬祭でも呼んで欲しくないし、呼ばれても行くなと。

実は来年結婚する予定なのだけれど、式にも披露宴にも呼んで欲しくない。

挨拶をするのなら、向こうに出てきてもらってホテルとかで会うだけにしろ。

もうあの家には行ってはいけないと、何度も繰り返して約束させられました。

正直、私自身は父方の祖父をそんなに好きではないです。かといって、嫌いかと聞かれると微妙。一応可愛がられているのだと思うし。

ただ、その遣り方や愛情表現が不器用ないし、ものすごく普通ではないだけで。

就学前の子供に、お小遣いといって厚みのある札束をあげてはいけないでしょう。私もギャン泣きして逃げたらしいし。

父方の祖父は、かわいそうな人なのだとしか私には思えなくって。 煮え切らない私に祖母は、本当は話したくなかったと、父の実家のこわーい話を聞かせてくれました。

祖父母も、父の実家の因縁の原因らしきものに、箱が関わっているとは考えていないようです。

祖父母が調べたのか知っていたのかは不明ですが、因縁らしき原因説は複数あって、既に特定が難しいとのこと。

祭祀に相当することも、今ではほぼ絶えている様子です。
叔父たちの世代でも引き継がれるかどうか微妙で、従兄弟たちの代になれば完全に失われるだろうと予想しています。

放置される結果、どうなるのか分かりません。良くなるにせよ悪い事が起こるにせよ、関わらなければこちらに類は及ばない。関わるな、という考えの理由だそうです。

因縁の元となったのは、蛇ないし何らかの野生動物を穢すか殺すかしてしまった祟り説、神殺しの祟り説、身内殺しの祟り(呪い?)説、神職の成れの果て説などなど。
怖い系の民話大集合でした。

毛色が変わったところで、祖霊信仰(先祖崇拝?)の変形版。 昔は周辺地域の神職というか、祭祀を預かっていたのは間違いないですし、身内殺しがあったのは事実らしいです。

蛇の祟り説は、それらしい逸話は見つからなかったそうです。ただ、私が生まれたとき首周りに赤い帯状の痣があって、鱗のような濃淡があったそうです。証拠写真もあり。

今まで見せてもらえなかった生後直ぐの写真をみたら本当にあった…
何なんでしょうコレ。原因は分からなかったそうです。

気丈な祖母が一目見てへたり込んだくらい、不気味で気味が悪い…
半月ぐらい消えなかったそうな。

祖霊信仰の変形版というのは、安土桃山頃に父の家系に女の子が生まれたことがあったそうです。

家系図に残っている範囲内では、私が生まれる以前では彼女が最後。

一夫多妻で、六、七人兄弟の末っ子で、家中が可愛がっていたそうで。
本人への愛情の他にも、小動物に懐かれたり、予言のような事をしたりと、神様の加護が深い特別な子供だったのだとか。

この女の子のお陰で家は栄え、動乱の時代も上手に乗り切り今に至る基礎が出来たらしい。

地域にも何らかの貢献をして、とても感謝をされて生き神扱いまでされてしまう程。

彼女は残念ながら、病気なのか殺されたのかは不明ですが、十四、五歳で死亡。

土地の豪族がその前後に関わっているようですが、歴史事実である確証はないので割愛。

で、この子の遺体を父の実家はどこかに今も保存しているらしい。埋葬せず、祀っているとのこと。

代々家長だけがその場所を知り、祀っている。即身仏のようなもの?
魂は今も家にいるらしい。

貰い娘さんたちは、彼女の代理ないし形代のような位置づけという解釈。

彼女たちは跡取り息子よりも大事にされたというから、家にとってはかなり重要で大切な存在ったのかもしれない。

貰い娘さんたちは幼い内から養育して、ゆくゆくは妻ではないけれど、嫁にするための相手らしい。 側室みたいなのでしょうか。

昔、兄の一人がそんな話を父方の祖父から聞いたことがあるそう。 祖父も許嫁(?)の子と兄妹同然に育ったけれど、彼女は10歳そこそこで、自然死ではない死に方で死んでしまったとか。

正式には養子縁組をしていないのはそのためで、結婚前に死んだ場合は家のお墓に入れてあげられない。

ほとんどが結婚可能な年齢以前で死んでしまうので、実際結婚した実例があるかどうかは不明。 多分ないんじゃないかな。

死んだ後は、田舎式の宗教色の乏しいお葬式を家の中だけであげて、詠める人がお経をあげる。

お坊さんも神主も絶対に呼んではいけないし、来てもいけない。 それを叔父の一人は、冗談交じりに『混ぜるな危険』と表現していました。理由があるようです。

遺体は土葬で、上には丸く土を盛る。(穴を掘って埋めてはいけない他、細かく作法がある)

肉とか内臓が土に還ったら上の土山がへこむから、掘り返して骨を綺麗に洗って骨壷に納めて、××部屋(記憶が曖昧で思い出せないとのこと)に安置。

家の女の子(嫁含む)を守ってくれるから、大事にすること。 七歳までの本家の子供は、新しく歳を取る度に挨拶に行くのが風習なんだとか。

気持ち悪いのが、骨壷は材料に骨周辺の土を混ぜて作るという話でした。 素焼きっぽい素朴な壺。他にも混ぜる決まった材料が複数あって、その一つに人か動物かは不明ですが、血が使われていたとか。
「土で清められた体を纏って、より清らかな神様に近くなってかえってくる」と、祖父は表現していたそうです。

土葬自体は父の実家の風習。曽祖父も同じような遣り方で葬られました。

そのための土葬のための山を今でも所有しているし、祖父自身自分が死んだときのための許可を既に申請済み。

この山は山菜も豊富だけど、地元の人は絶対に入らない。 地元の子供はそこで遊ぶなと小さい頃からしつけられる。

でも何年かおきに、迷い込んで洒落にならないニュースになる。最近、隠れた自殺の名所化しつつあるそうな。

ただし家の男は、埋めた場所の土を使った骨壷なんて使いませんし、遺骨を家の中に置いたりはしていません。安置するためのお堂が別にあります。

葬儀の遣り方、作法を含めた実家の風習全般に父は疎く、ほとんど知らないと言ってもいいでしょう。

きっと母方の祖父母の方が良く知っていると思います。 父は戸籍上は長男だけど、祖父は庶子になる父よりも、年上の叔父(妙な言い方だけど)に家を継がせるつもりだったらしく、家教育はこちらにしていたからです。

父は若い頃から虚弱体質で、渾名が骨格標本だの干物だのと、由来が丸分かりな渾名を付けられてきた人なので、本人もその気がなく、無気力無関心。廃嫡されたのかも。

結婚後急激に体重増加で、今は立派なメタボリック。ひょっとすると父の実家は、弱い人間から何かしらに負けて死んでしまう家なのかもしれません。

貰い娘さんたちが亡くなる年頃は、10歳前後から17、18歳辺りが一番多かったそうで。神様の加護が薄れる年頃から、バタバタと死んでしまう。

父の実家では絶対にペットの類は飼わない決まりだった。なぜかというと、小学校の理科で課題にされたお蚕の飼育ですら全滅するからだと、従兄弟の一人が笑い話にしてた。

ちょっと感覚が変。
嫌な喩えだけど、貰い娘も嫁の盾ないし身代わりがいなくなった家の中で、一番弱かった父が犠牲になりかけていたのかもしれない。

父は自分の実家が大嫌いなので、話題にするのも嫌がる。娘が関わることも、気にするのも嫌う。 聞きたいこともあるけれど、あの様子では聞くに聞けません。

祖父母の話も、兄たちの昔話も、父の態度も、どれも分かるようで、肝心なところが不完全燃焼で分からないことばかり。

そのせいでかえって怖さが増した気もするけれど、一番大事なのは関わらないことだと、祖父に言われたことを信じようと思います。

祟りも呪いも、近付かない人間にはそんなに怖いものではない。何よりも生きている人間の方が強いのだから、気持ちを強く持って負けないように幸せになりなさいという言葉は、他にも応用が利きそうですね。

兄たちのように、無関心無神経鈍感の三拍子が揃うと無敵なのでしょう。私もそうなりたいです。

応援していただける方がどこかにいるのだと思うだけで、勇気付けられます。

祖父母の話で一番ショックなのは、物理的に自分があの家の血を引いていることだったりします。

兄たちは欠片もきにしていませんが、何となく私だけが気にしてしまっています。

口に出したり態度に表さずとも、祖父母父母皆気にしているのでしょうが。

某神社は我が家の氏神さまの系列の神様で、確かに私はそこの神様と非常に縁深いです。

目をつけられているから、安心して頼りなさいと言われています。人間業ではどうしようもなくなったら、一生お世話になる覚悟でそうした所に飛び込むのも一つの手なのかも。

私の場合、神事の際のお手伝い(稚児舞の奉納で舞手を五年間務めました)をして以来のご縁です。

父方の家も古いですが、母方はもっと古いです。倍いきます。祖父母はそれぞれ神職の家だったり(氏神様系列の某神社の)、豪族上がりの武家だったりしますから。

昔から周囲の子達とは違う形で家族に迷惑をかけ心配させてきた分、絶対に幸せになってやろうと改めて決意しました。