妹が彼氏を家に連れて来たときのこと。

私と妹は二人暮らしで、妹はLDD(※Living Dead Dolls:生ける屍をモチーフにした人形)者。
かなりの数の死体人形が至る所に飾られていて、趣味を知らない人が来る時は驚かせちゃまずいから、クローゼットに仕舞うようにするというルールを作っていた。

その日もぬかりなく妹の部屋のクローゼットに隠して置いた。

彼氏がやって来て数時間後、妹がトイレに立ち、部屋に彼氏一人になった時事件は起きた。

いきなりガタガタンと派手な音が妹の部屋から聞こえ、それから数秒後に彼氏の悲鳴がした。

慌てて駆け付けると、「こ、こわん!!」と、彼氏がクローゼットから雪崩落ちた死体人形の山を指差して青ざめていた。

そのとき私は、彼がなんとなくクローゼット開けて大量の人形が出て来て、しかもそれが死体人形だったから怖がっているんだなと思ったけど、 それにしては彼氏の様子がおかしい。

顔色も死体人形を見てびっくりしているにしては真っ白すぎるし、怖がりすぎていた。

トイレから出てきた妹が彼に何があったのかと聞くと、
「クローゼットから物音がして、ペットでも隠れているのかなぁと思ってたら、突然『帰れ』と聞こえてクローゼットが開き、人形が出てきた」
と供述した。

物が物だけに怖かったのだろう、彼は二度と妹の前に現れなかった。

妹は「みんなで彼氏に嫉妬してくれたんだね」と、機嫌よさげだった。