うちの実験室には『女の人』がいる。

気配だけなんだけど『女の人』で、ラジオをかけながら仕事していたりすると、何もしないのにラジオの入りが悪くなったりする。
しかも、そこで2人以上で仕事しているときにはそんなことは起こらない。
「頼む、好きな曲なんだ、聴かせてくれ〜」とか言うと、入りが戻る。

この間その部屋で待ち時間があり、一人やはりラジオをかけながら、手近にあった紙に落書きをしていた。

するといつものごとくダウンしていくラジオ・・・。

2,3回電源を入れ直したけどやっぱり駄目で、その時おれは何を思ったのか、(これも変な話なんだが)

「じゃぁ、あんた(女の人)の顔描いたげるからラジオ聴かせて」
みたいなことを言ってしまった。

当然、顔なんて見えないから、全くの想像で紙にペンを走らせた。それで、ラジオのボリュームは戻った。

何となく最初に描いたのは髪の長い女の人。

おれ「こんな感じ?」

・・・・下がっていくラジオのボリューム

おれ「違うらしい」
描き直しはじめる。

・・・・戻っていくラジオのボリューム

次におかっぱっぽい髪型の女の人。

おれ「これじゃどう?」
・・・・変わらないラジオのボリューム

なんか、納得して貰えたのかなぁ・・・?

よく分からないけど、そこで切り上げて実験室を出た。

この時の一部始終を誰かに見られていたら、きっとデムパと思われるよな〜。

帰ってから、描いた絵をどうしたもんかと思って、マッチで焼いてみた。

それから、特になにかあったって事もないけど、ほんのり怖いので。