バスガイドである綾子さんは、宿泊先のホテルが満室だったため、近くの民宿に案内された。

彼女が通されたのは6畳ほどの和室。少しさびれた感じはあるものの、しっかり掃除もされていて、清潔感のある部屋だった。
彼女は夕食時に飲んだお酒でほろ酔い気分になって、早めに床に就いた。

しかし、深夜に子どもの話し声がして目を覚ました。

携帯を見ると1時を過ぎている。

「何時だと思ってるのよ、まったく!でもどっから聞こえてくるんだろ、隣の部屋? 廊下?」

彼女は頭から布団をかぶって眠りにつこうとしたが、子どもの声はさらに大きくなった。

明日も早起きだというのにもうガマンできず、

「静かにして!」と、布団から上半身を起こして大声で怒鳴った。

次の瞬間、彼女は凍り付いてしまった。

足元から少し離れたところに4、5才位の子どもの影が3つ座っていたのだ。

「きゃー!」彼女が思わず悲鳴を上げると逆さまになって正座し、空中に浮いている老婆が目の前に現れた。

その老婆が人差し指を口の前に置いて、「し~っ」と言った。

彼女はそのまま気絶し、太陽の光で目が覚めた。

「お客さんは絶好の旅行日和と喜んでたけど、私の頭の中は老婆のことでいっぱいだったわ」