ある日、その老人は行き倒れのように路上に倒れていた。

病院に担ぎ込まれたが、間に合わず息を引き取った。
この老人は窃盗や空き巣などで、警察のご厄介になってばかり。

取り調べ中に親しくなった刑事たちが、折りにつけ世話をしていたそうだが、荒れた生活をしていたため、いくつかの持病があった。

警察は捜査したが事件性もなく、病死とされた。

身寄りもない男性だった。

2人の刑事が病院の霊安室へ入る。せめて線香の一本でも。

帰り際に霊安室のドアを開けて廊下に出ると

「ありがとよ!!」


背後から初老の男性の声がした。

2人ともびっくりして、顔を見合わせ振り返った。

声の主には白いシーツがかけられているだけで、動いた気配はない。

「何を今さら、よせやい」

刑事たちは照れながら、少し涙ぐんだ。