ふと窓に何かがぶつかる音がした。

「カナブン?」

いまは冬だ。カナブンのはずはない。

不審に思った私は、窓を開けて外を見てみた。
家の門の前に女の子が背を向けて立っている。

年端は小学生高学年といったところだろうか。

時間は深夜1時を過ぎている。

近くにはコンビニも自販機もない。

その時、女の子が突然こちらを振り向いた。

目が合った。

気味が悪くなった私は愛想笑いをして、窓を閉めた。

少し不気味だったが、そのまま眠りについて何事もなく朝を迎えた。

昨日の子は何だったんだろう。まさか家出?

門の前を見てみようと、カーテンを開けた。

すると窓には無数の子どもの手形がつけられていた。

それらは全て内側からだった。

窓ガラスにうつった部屋の中に、その女の子は立っていた。

私は振りむくことができず、かたく目を閉じた。