691 :本当にあった怖い名無し:2007/06/21(木) 17:27:18 ID:cvbGUZkA0


田舎から上京した友人の話です。


その友人の地元は、海沿いのさびれた漁師町で、 

そこに昔から伝わっていて、今では口語で歌われている歌があった。

鰯が獲れたら秋刀魚が獲れる 

秋刀魚が獲れたら鰤が獲れる 

鰤が獲れたら鰹が獲れる 

鰹が獲れたら人魚が獲れる 

人魚が獲れたら子供が獲れる 

子供が獲れたら肉になり 

肉になったら鰯が獲れる 


という、なんだか不思議な歌だった。 

友人から聞いたときに気になったのは、やはり魚からいきなり人魚や子供に飛躍する点。 

だが、友人もよく分からないというので、「今度帰省したら祖母に聞いてみる」と言っていた。



692 :691続き:2007/06/21(木) 17:28:49 ID:cvbGUZkA0

その夏のある晩、帰省していた友人から電話があった。 

聞いてみると、実は歌には、今の子供には伝わっていない2番が。 


鰯が獲れぬし秋刀魚も獲れぬ 

鰤も獲れぬし鰹も獲れぬ 

人魚も獲れぬし子も獲れぬ 

こぞ(去年)に獲れたは人魚の子 

稚児がその子を食らぶれば 

稚児は見事な餌になりて 

鰯は町に戻り来る


私は「人魚ってなんだ」と聞いたところ、 

それは女ばかり生まれる特別な家系のことで、大漁の年に子供が生まれるのだそうだ。 

そして、純潔守られた子供は、不漁の年に町の少年と性交する。

少年は交わった時点で、人でもない物として海に捧げられるのだそうだ。


友人の祖母が子供の頃には、すでにそんな風習もなく、人魚の家系がどこにあるか分からなくなっていた。 

ただ、友人の家系は女ばかりで、入り婿が家を継ぐそうだが。