132 前編byスケキヨ ◆XJhZIZhIRc sage 2011/12/18(日) 22:03:18.66 ID:OEz4iIQJ0
1
父の実家は旧Z村にあった。
堆肥臭やボットン便所が嫌でさー。
そんな旧Z村に長期滞在することになったのは、某事件のせい。
(この話には関係ないので別の機会にでも、、、)
家に住めなくなったのはショックだった。
父は転職するし、母や兄・私・妹の四人で父の実家に居候することになった。
盆と正月くらいしか帰省していなかったし。

中一の九月末の転校生・顔面包帯のせいで、
最初は「訳アリ」って感じでドン引きされてた。
事件のトラウマで軽い失語だったが、
上手く喋れるようになったのはAのおかげだ。
ヤンキーっぽいのに、学級委員やってて人気者。
AのダチBとCも仲良くなって、うちとけた。
D子、E子、F美はいつもフザけるA達に
小言をいいつつ、一緒に行動した。
「そういえば、三年のG先輩が夏肝試しに行って行方不明になったままだよねー」
F美がニヤニヤ笑って「うらめしや~」とかフザけはじめた。

135 前編byスケキヨ ◆XJhZIZhIRc sage 2011/12/18(日) 22:16:48.28 ID:OEz4iIQJ0
A、Bも「あれって、夜逃げじゃないのかー?」と興味をもった。
C「高校生のグループに混じって、置き去りにされたとかの話だろ?」
F美「E子ん家に昨日、警察来たんでしょ?」
E子「だーかーらー、一緒にいた兄貴に『心当たりあるか?』ってだけ」
D子「単なる聞き込みでしょ?」
F美「今朝から大人が騒がしいじゃん。G先輩の死体でも出たんじゃない?」
A「そういう言い方、止めろよ」
F美「村外れのどこかに肝試しに行ったらしいけど、私は地元じゃないしね」
私「そうなの?」
D子「F美も中学からこっちに移って来たんだよ」
B「F美はともかく。スケキヨ、御前も興味あるのか?」
突然の都落ちにも慣れ、ヤサグレた私はわくわくしていた。
雪が積もる前に、季節外れの肝試しが決行。
Z村の外れには山がある。
全てはE子が兄貴から聞き出して描いた「地図」にかかっていた。
A「おい、ここってさ」
B「あー、、、」
C「赤木家じゃん」

138 前編byスケキヨ ◆XJhZIZhIRc sage 2011/12/18(日) 22:28:45.48 ID:OEz4iIQJ0
肝試しっぽいなーと私はうかれてた。
F美「じゃあ、中入ろう。わお、二階建てだー」
赤い三角屋根の二階建て。
埃まみれの家具は散乱。カレンダーは昭和のまま。
天井の上、二階からドンと聞こえた。
C「誰か住んでる?」
D子「いったん、外出ようよ」
F美「私、見てくるよー」
外からガヤガヤ聞こえた。
E子「兄貴?」
D子「あっ、Xさん。こんにちはー」
X「母ちゃん、心配してっぞ。帰るぞ」
E子「来たばっかなんだけど」
X「とにかく、ここは何も無い」
C「三年のG先輩、ここで殺されたんですか?」
X「俺らは知らん。はよ帰るぞ」
F美が二階にあがったまま、戻って来ない。
外にはE子の兄貴Xの友達数名が叫んでいる。
皆で外に出ると、F美が泣いて窓をたたいてる。
おかしい。こんなにぼろい廃墟なら
泣き声や窓をたたく音が聞こえないわけない。
C「F美ー、演技してないで帰るぞー」
一瞬のうちに、F美が窓から消えた。
皆、怖くなって逃げ出す。

141 前編byスケキヨ ◆XJhZIZhIRc sage 2011/12/18(日) 22:39:46.52 ID:OEz4iIQJ0
A、B、私は赤木家に特攻。
グッタリしているF美を三人でかついで
赤木家を脱出する。すると、F美が笑い出した。
Cの言うとおり演技だったのだ。
F美「マジウケる!E子とD子、腰抜かしてるし」
F美にだまされ、肝試しはおひらきとなった。
その翌日、Xが高校に登校中事故で、全身骨折。
F美もほぼ同時刻にベッド上で全身骨折。
命に別状は無いが、肝試しした
昨日の今日で気味が悪かった。
B「G先輩のお兄さん時と一緒じゃんかー」
A「黙っとけ、B」
B「赤木家でアレかよ」
AとBは明らかに何かを隠していた。




150 後編byスケキヨ ◆XJhZIZhIRc sage 2011/12/19(月) 01:14:15.53 ID:D4j0PD7y0
[1/9]廃墟へ行った後、全身骨折になる。
A曰く昔からあの辺はヤバイ土地で有名。
G先輩の兄Hさんが全身骨折して今では寝たきり。
調べようとしたG先輩は行方不明ではなく、転校。
この間のXさん、F美は赤木家で祟られた。
Bもヤバイのは知っているが、何故かは知らない。
[2/9]大人達も絶対近づかない。
C「女子はビビリだから四人で行こう」
「赤木家の裏な!裏!そこ、重要だから」
週末に、断行した。
赤木家の裏には細い道があって、
その脇をずっと木箱が並んでいた。
Cが開けてみると、水子地蔵の石仏が。
[3/9]下りの道で、すり鉢上盆地の底が見えた。
何かを何かが囲っている。
一番外の鉄柵には有刺鉄線がまかれてた。
内側は分厚いコンクリート塀。
さらにその内側は木材の何かがある。
底へ着くと、玉砂利が敷き詰められてる。

153 後編byスケキヨ ◆XJhZIZhIRc sage 2011/12/19(月) 01:24:39.84 ID:D4j0PD7y0
[4/9]目の前には「立入厳禁」の文字ではなく、
「車」の大きな家紋が刻印された巨大な石碑。
文字は一切彫られていない。
いったい、何を祀っているのか。何を封じているか。
A「ここ、自動車じゃ来れないよな」
B「あんな大きい石碑運んで来れないよ」
C「ここで彫ったんだよ」
5/9]AとBは首を傾げたままのCから後ずさりした。
C「中へ入ろう。父ちゃんから聞いたんだ」
A「C、帰るぞ」
Cは柵の鍵を壊し、どんどん中へ入っていく。
よく見ると、柵にもコンクリートにも扉と錠前があった。
B「Cを止めなきゃな」
A「中へ入るぞ。スケキヨはどうする?」
[6/9]ふと、背後に気配を感じ、私もついていく。
A「鍵がついてる=中へ入ることもあるんだろう」
大丈夫ではなかった。
木で出来た小さな社がただぽつりとあった。
Cが社の中に手を突っ込んでいる。
何かを取ろうとした瞬間、耳鳴りがした。
Cは何かを持っている。黒いマフラーのようなものだ。


157 後編byスケキヨ ◆XJhZIZhIRc sage 2011/12/19(月) 01:35:45.37 ID:D4j0PD7y0
[7/9]社の中の物をまた探り始めた。
周囲で気配がし、悪寒がする。
社の後ろに身を隠して顔をのぞかせている何か。
人間の幼女のようで、こちらを見上げている。
目の無い眼底は大きい穴だ。
口に歯は無く、白い髭のようなものが伸びている。
手に指はなく、円い何かに見える。
[8/9]A「C、急げ!」
B「スケキヨ、ガンバレ!」
赤木家の辺りまで戻ってこれたが
もう、辺りは真っ暗。
そこへCの父がワゴン車でやって来た。
C父「探したぞ。早く乗れ!」
村の公民館へ行き、ホースの水で洗浄された。
[9/9]塩をまかれ、酒をふりかけられた。
毛布にくるまれ、公民館の中へ連行。
色々聞かれたが、また耳鳴りがして解からない。
その間に、Cが苦しみだした。
Cが陸に上がった魚のごとく跳ね続ける。
骨の折れる音が続くまで、Cは跳ね続けた。

160 後日談的なbyスケキヨ ◆XJhZIZhIRc sage 2011/12/19(月) 01:54:01.70 ID:D4j0PD7y0
[1/9]Cは全身骨折で手遅れとジジババに宣告された。
実害の出ていないA、B、私はAの父と一緒に
ある除霊師の家に向かった。
Bと私の家族は公民館に呼ばれてないし、不安で号泣。
石碑の家紋=社の管理者で
問題が起これば、車さんという家に頼むそうだ。
車さん宅はふっつーの民家だったので拍子抜けした。
[2/9]
車「御三人さん、何見たの?」
A「黒いマフラーと、ミイラの干物」
B「俺はマフラーだけ」
私「黒いマフラーと、、、」
車「正直に言いなさい。怒らないから」
私「、、、変な女の子」
車「あら、そう。A君とB君は大丈夫よ」

[3/9]車「スケキヨさん、困ったことになったわね」
私「あー、耳鳴り以外は普通です」
車さんはアレの正体を説明してくれた。
アレは「陸鯨(リクケイ)」。地域によって「髭子」。
昔は雄を見ると縁起が良い。雌だと悪い。
そういった吉兆に関係する妖怪だったらしい。
A「件みたいなのですか?」

163 後日談的なbyスケキヨ ◆XJhZIZhIRc sage 2011/12/19(月) 02:08:08.25 ID:D4j0PD7y0
[4/9]車「まあ、、、でも、火は弱点」
B「縁起物を燃やしたらバチが当たりませんか?」
車「Z村に恨みのある人が村の外れでやったのよ」
誰かが陸鯨を燃やしたことで村に不運が続く。
そこで、Z村は犯人を突き止めて住まわせた。
犯人の末裔が赤木家だったのだ。
車「黒いマフラーにみえたのは赤木家に生まれた娘の毛束」
[5/9]私「何故に毛束なんですか?」
車「自分達が祟られないための供物かもね」
私「除霊すれば陸鯨も成仏?出来るんですね」
車「家も社も朽ちてしまえば、全て終わるはず」
A「G、HとCはいとこで、F美は赤木家の遠縁です」
車「C君は他人をまきこんだ甲斐があったでしょ?」
C君はあの社を調べるために他人を使っていた。
[6/9]陸鯨を見るのはそれを燃やした赤木家の血のせい。
F美ちゃんは赤木家の血が少し混じってたらしい。
私「Xさんが巻き込まれたのは?」
車「F美ちゃんとヤったんじゃない?」
ケロリと言う車さん。
A「スケキヨ。村来る前に御前家が燃えて火傷したんだろ?」
私「そんなことで、見えちゃうか?」

166 後日談的なbyスケキヨ ◆XJhZIZhIRc sage 2011/12/19(月) 02:20:48.57 ID:D4j0PD7y0
[7/9]車「火傷から火の気を察知して、威嚇したのかもね」
車さんってかなり適当な人だなーと思った。
車「折られた骨は元には戻らない。さっさと手を打とうか」
除霊は三人一緒にしてもらった。
車「念のため、スケキヨさんは村には戻らない方が良い」
私「いつ、戻れますか?」
車「今は火傷のおかげで実害は無いけれど」
[8/9]A「Z村に戻れないってことですか?」
車「そうなるわね。陸鯨は扱いが難しいの」
車さんはどこかへ電話しに行った。
AもBも私も、生きているのに何だかどっと疲れた。
車「スケキヨさんは車の本家預かりってことで良い?」
私「え、、、」
車「私は社の修復に立ち会わなくちゃいけないから」
[9/9]中一で家族と暮らせなくなったのはきつかった。
世話になった車本家の人が私を見て、
「アンタより苦しんでる子もいるんだから」と説教された。
本当にそうだと思う。陸鯨よりヤバイのもウジャウジャいる。
危ない所はマジで危険。
(長々とすみませんでした。)