360 本当にあった怖い名無し sage 2012/06/17(日) 13:47:09.05 ID:ct62qMj90
近所の教会の息子Aと俺は公立中学で出会った
それから意気投合して、高校も合わせたように同じ高校に進んだ
大学は、うちの親が受験戦争をやれと命じたので別々となった
あいつはなぜだか國學院に行った
塾通いをさせられだした頃からAとは疎遠になった

お互い、順調にいっていれば三年になっている筈の春
Aのご両親から電話が有り、俺は久々に教会に顔を出した
俺がよく遊びに行っていた頃は水曜と日曜は凄く活気に溢れていたのに
棚の聖書の冊数すらほとんどない有様になりはてていた
Aの両親は俺にAをどうにか部屋から引きずり出して欲しいと頼んだ
それから半年近く週一日程度のペースでAの家へと通った
声をかけても無言 ノブを回しても扉は開かない
夕食時まで待っても俺がいる間は出てこない
ある日帰り際裏道を通ってAの部屋を見上げた
Aが此方を見下ろして泣きそうな顔をしていた
俺は妙な違和感を感じてAの背後に目をこらした
「クマ?」
ずんぐりとした黒い影クマのようなものがAを見ていた
その目がいきなりこちらをみた白目のない黒い輝き
たちまち膝が笑い出したが
恐怖が勝って俺は駆け去った
振り返り振り返り
Aが窓ガラスを手で打って
俺を呼ぼうとしている姿が見えた

あれはやばいものだ
直感がそう言って以降Aの家には寄り付かなかった
ある日我が家のポストに喪中を知らせる手紙が届いた
Aの両親からだった
その数日後、俺はポストの中に黒っぽい茶色の剛毛を発見した
即座にあの日見たものが思い起こされて俺は固まった
家を振り返ると、風呂場の硝子の向こうに大きい黒い影が見えた