俺が震災で避難していた先が古いマンションで、そこで半年ほど生活してた時の話。

部屋はリビング含めて三つあって、俺が窓の無い狭い部屋、妹が南側の広い寝室使ってた。
寒いから窓もドアもきっちり締め切って、普段はぐっすりグーグー眠れるんだけど、その日は夜中に「キキーッ!ガン!!」とかいう音が響いて、近所で交通事故が発生したみたいだった。
その後もパトカーや救急車のサイレン音がうるさくて、なかなか眠れなかった。
でも、まあ、深夜二時ぐらいにはサイレン音も無くなって、ようやく眠れた。


それからどれくらい時間が経ったんか判らないけど、誰かが部屋のドアを「ドンドン」て叩く音がしたから目が覚めたんだ。
俺は妹だと思って

「なに?」

って声を掛けたら、外から

「中に入れて」

って声が返って来て、俺は

「勝手に入れば?」

って答えたんだ。
そしたら、部屋のドアがゆっくり開いたんだけど、ドアの向こうに全然知らない女がいて、部屋の中に入ろうとしたんだ、俺はビビって飛び起きて、半分開きかけたドアを思いっきり押して、
「ガン!!」と音を立てて締めた。
そのまま俺はドアを押さえつけてたんだけど、全身に鳥肌が立ってなかなか引かなかった。
でも、布団の上だったし、ドアを手で押さえたまま、俺は寝てしまっていた。

次の日、妹に起されたんだけど、俺が夜中にドアを「ばたん!」って締めたから、ビックリして目が覚めたって言われたんだ。
でも、俺は、寝るときはドアを締め切るから、バタンと閉めなおす事は無い。
なんとなく嫌な感じがして、俺は夜中の話をしたら、妹は嫌そうな顔をして、

「朝、玄関に出たらにいちゃんの部屋の前に砂利が落ちてたんだけど、あれなに?」

って言われ、驚いて見に行ったら、確かに青い砂利っぽいものが、うっすらと飛び散ってた。
なんかワケが判らないけれど、お化けや幽霊やったら嫌だなあとか思いつつ、マンションを出て登校した。

そしたら、マンション脇の道路で交通事故があったみたいで、花束が沿えてあったんだ。
後日、改めてその道を通り掛ったら、このマンションに住む女性が引き逃げにあって、
目撃者を探しています、という看板が立ってて…

そこには「青い軽四による女性ひき逃げ事件がありました」って書いてたんだ…

俺の部屋の前に落ちてた砂利、あれ、塗膜だったんだ…。

今思い出しても怖い。