今から10年くらい前の話。

夢を叶えるために、東京の専門学校に通うため、地元から東京に引っ越してきた。
何度か下見をして、学校から交通の面も不便じゃないし、何よりも都心だったこともあって、池袋のアパートに住むことにした。
間取りもよく、広めのリビングに、すりガラスのドアを挟んでキッチン。駅からもそんなに離れていなく、徒歩で20分かからないくらいだった。
そんな物件が月々の家賃5万円以下で住めるというんだから、即ギメだった。


俺は、すぐに専門学校で必要なものや、生活に必要な物をまとめて、上京した。

家具や服。
全てを部屋に運び入れて、新生活はスタートした。
入学してすぐ友達もできた。バイトもすぐに決まった。
順調な滑り出しだった。

バイトは深夜のコンビニで廃棄の処理だったり、品出しだったり、掃除や発注。
特別、苦に感じることもなかった。
ある程度、仕事や学校生活にも慣れてきてしばらくしてからだった。

深夜番のバイトが休みの日のこと。
部屋に違和感を感じるのである。
違和感を感じるのはリビングではなく、リビングからすりガラス越しのリビングだった。
リビングに設置したこたつや、パソコンで作業をしていると、気配を感じるのである。
誰も居ないはずのリビングから…。
しかも、開けて確認したわけでもないし、実際に見たわけでもないのだが、その先に居るのは【女】だと革新が持てた。
俺は気味が悪くなって、その日はキッチン側に向かうこと無く眠ることにした。

朝になるとその気配はなくなっていて、専門学校に向かう。
その足で、バイト先に向かって朝に帰ってくる。
そんな生活をしばらく続けて、またバイトが休みの日が来た。
相変わらず、夜になるとキッチンからは気味の悪い気配は感じていたが、この頃になると、こんなこと気にしてたんじゃまともに生活できない!と思って、気配は無視して暮らしていた。

でも、その日の夜だった。

金縛りにあった。
霊感なんてないと思ってたし、こんなこと有りえないと思ってたので、正直怖かった。
腹には明らかに何かが乗っている。しかも、大人の重さだ。
これはヤバイ!と思って、俺は目を閉じた。

気が付くと眠って居たみたいで朝になっていた。

それからしばらく、俺は気味の悪い気配と暮らし続けた。
なれたと思っていたはずの、学校→バイト→家の生活に疲弊しきっていた。
そんなときだった。
友人内で怪談話で盛り上がった時のことだった。
数人で話してる内の、友人AとBが霊感がある。と言い始めたのだ。
AとBはタイプの違う霊感の持ち主だそうで、Aは【霊が見えるタイプ】、Bは【見えないけど感じることはできるタイプ】そんなことを言っていた。
ぶっちゃけ気味の悪い体験はしたけど、そんな霊感とか信用していなかった俺は特に家のことを話すこともなく、霊感が事実かどうか実証するために2人を家に招待した。

その日は午前で学校が終わる日だったことも有り、家に来る途中、AとBと俺でコンビニに寄って飯や菓子、飲み物などを買って、家についた。
両手に買い物袋を持っていた俺はポケットの中にあったキーケースをAにとってもらい、玄関を開けてもらった。
すんなり部屋にはいるかと思ったAが一瞬ビクッとしたかと思うと、「悪い、俺帰るわ」と一言いって帰ってしまった。
Bと俺は「なんだ、アイツーつまんねぇの」なんて話をしながら部屋に入った。
家に入ったのは昼12時少し前、くだらない話をして、飯を食って、だらだらして。
13時になる直前だった。一瞬の事だった。
Bと面と向かってくだらない話をし、爆笑したあと、窓の外がオレンジ色に染まっていた。
時計を見ると、針は5を指していた。
17時になっていたのである。
俺が眠っていたんだったり、酔っ払っていたのなら、気のせいで済むはずだった。
でも、違った。その場に一緒に居たBも13時~17時までの記憶がスッポリなくなっているのである。

そのとき初めて俺はこの家はヤバい家。と悟った。
急いで、服や携帯の充電器などをカバンに詰めて、その日はBの家に泊まった。
翌日、学校でAにあった俺らはAにこのことを話した。
そしたらAは「昨日は帰ってごめん…だって、玄関開けたら、女の人すっごい怒ってたんだもん」て

で、住んで4ヶ月。
さすがに違約金払いたくないから、1年半くらい友達の家を点々とした。
で、解約した。

解約するときに紹介してくれた不動産屋に、「こんなことがあったからほとんど住んでない、なにかあったんじゃないのか」と聞いた。
そしたら、「ああ、あの部屋ではなにもないですよ」と言われたよ…。
部屋で何もなくても、土地か建物に住みついてたらでてくるもんなのかなぁ。

みなさんも、激安物件にはご注意ください。